プラスチックを削る音、ネジを回す音・・・
小さな音が、さほど広くは無い部屋に響く。
時々 止まり、しばらくすると また・・・
そんな風にして、もう1時間ほどたつ。
柔かな光が差しこむ窓辺にはミハエル、
奥のベッドにはカルロ、
それぞれ、手にしているマシンを思い思いに改造している。
窓から入ってきた風にミハエルの金色の髪が微かに揺れて、
カルロの集中していた意識をふっと緩めた。
二人がマシンの改造を始めてから、ずっと沈黙が続いている。
話す事が無いわけではないし、まして気まずいわけでもない。
それでも、二人まるで示し合わせたように何も話さない時間がある。
カルロは元々、あまり喋る方ではない。
それは持って生まれた気質かもしれないし、
彼のこれまでの孤独な生活がそうさせたのかもしれない。
ミハエルも そうなのだろう、とカルロは思う。根拠など無い。
饒舌なミハエルは何度も目にしているはずなのに、
不思議と そう感じてしまう。
「ねぇ」
鈴の鳴るような透き通った声が、不意に沈黙をやぶった。
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