カルロは答えない。
もちろん、聞こえなかったわけではない。
ただ・・・そうすれば、ミハエルが寄ってきて隣に座るだろうかと思った。
ミハエルはマシンをクッションの上に乗せると、
ベッドに歩み寄り、カルロの隣にふわりと座った。
甘い髪の香りに、カルロは無意識のうちに目を向けてしまった。
自分を見つめる真っ直ぐな視線にぶつかる。
まるでキャンディのような、宝石のような、大きな瞳。目をそらせない。
「ねぇっ」
ミハエルはカルロの顔を覗き込んだ。
わずかに顔を曇らせると、不安げに言葉を続ける。
「ぼくとカルロってさ・・・『一緒』にいるんだよね?」
「・・・はぁ?!」
不意に突拍子も無いことを言い出すのは、いつもの事だが、
それにしても今日は特に脈絡が無い。
とりあえず、投げかけられた質問を言葉通り受け取ることにする。
「当たり前じゃねーか!一緒って言わなきゃ何て言うんだよ?」
「もー、そうじゃなくてっ」
ミハエルはぷーっとふくれた。やはり違うらしい。
カルロはマシンを横に置くと、ミハエルを見つめた。
ふくれていたミハエルが、はっとしたように俯く。
本当に聞きたい事が別にある。
とても大切な質問がある。
俯いたミハエルの瞳が ためらって揺れているのが、
その事を十分過ぎるほど伝えていた。
カルロは、出来るだけ優しく、ミハエルの髪をなでた。
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