ミハエルが不安そうに顔を上げる。でも、目はそらさない。
普段のミハエルは、まるで明後日の方向を見ているように話す。
あまりに遠くを見ているから、あまりに高いところを見ているから・・・
それが見えない人は、ミハエルがまるで、ぼんやりと興味がなさそうに話しているように感じてしまう。
そんなミハエルの目に自分が映っている。
それは、一体どういう事なのだろう・・・?
「・・・『一緒にいたい』から・・・一緒にいるんだよね・・・?」
一瞬視線を外したミハエルの唇から、消え入りそうな声が漏れた。
すぐにカルロの瞳を見つめ直し、言葉を待つ。
「・・・バーカ!」
カルロはミハエルに背を向けるように、ベッドに寝転がった。
期待はしていなかったのだろう。ミハエルは悲しそうに唇をかんだ。
「・・・それも・・・当たり前だろ?」
ミハエルがびっくりして顔を上げると、カルロはもう立ち上がっていた。
脇においてあった自分のマシンと、
クッションの上にあるミハエルのマシンを荒々しく手にして、ドアに向かって歩いていく。
「メンテも済んだんだろ?走らせに行こうぜ・・・早くしねーと置いてくぞっ!」
少し赤くなった顔を隠すように、さっさと部屋を出て行ってしまった。
「あっ、待ってよカルロ!パーツ忘れてるよ」
ミハエルはパーツボックスを抱えると、慌ててカルロの後を追った。
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