「ねむれねぇ〜」
豪が枕を放り投げてうめいた。
いつもは数分もしないうちに眠りについてしまうほど寝つきのいい豪なのに、
今日はなぜか眠くならない。
こっそり隠していたお菓子も食べてしまったし、漫画本も読み飽きてしまった。
けれど・・・眠れないのだ。
その時、豪は ふと窓の外が気にかかった。
物音がしたわけでもないのだが、何となく・・・。
おもむろにベッドから出ると、空っぽになったお菓子の袋やキャンディがパラパラと落ちる。
豪はキャンディを一つ拾い上げると、口に放りこみながら、カーテンの閉まった窓に向かった。
カーテンを開けると、すっかり明かりの消えた家々と、その上に広がる満天の星空が目に入った。
静かに光る星々を見ていると、否応無しに、あの不敵な笑顔が浮かんでくる。
悔しいほど自信に満ちた笑顔、こちらの心を見透かしたようなセリフ。
どんなに力いっぱい向かっていっても、ヒラヒラと手を振って軽く受け流されてしまう。
そうかと思えば突然情熱的になったり・・・突然優しくされたりする。
「アメリカ人ってよく分かんねー」
豪はポツリと呟く。
分からないのは『彼』。けれど、名前を口にする事さえ ためらわれる。
その名を呼ぶことは、嫌いではないけれど・・・。
「えっ・・・?!」
何気なく視線を落とした瞬間、その目に信じられない光景が飛び込んできて、豪は思わず声を上げた。
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