軽く刈り上げてある金色の髪は、街灯に照らされて淡く光っているように見えた。
早くしないと消えてなくなりそうで、豪は慌てて窓を開け、その名を呼んだ。
「ブレット・・・っ!」
ぼんやり たたずんでいたブレットは、少し驚いたように顔を上げた。
豪は、烈の部屋、両親の部屋の様子をうかがいながら、胸の鼓動を押さえきれずにいた。
ついさっき見たばかりの光景が信じられない。寝ぼけていただけで、外に出てみれば、やはり彼はいないかもしれない。
息を殺して、忍び足で・・・でも出来るだけ急いで。見えないものに背中を押されるかのように、気持ちばかり焦ってしまう。
一息ついて、そぉっと玄関のドアを開ける。
ブレットは・・・そこに いてくれた。
「どーしたんだよ?こんな夜遅くに・・・」
豪が顔を上気させて走りよってくる。
ブレットは そんな様子をぼんやり眺めながら、豪の問いかけに今更のように考えこんでいた。
日本に来る用ができて、ついでにゴーに会おうと思っていたのは確かだ。
前日から日本に来るのも、スケジュールの都合上 到着が夜になるのも予定通りだった。
ホテルはちゃんと取ってあった。
でも・・・気がつくと自分はここにいた。
ブレットが困ったような顔をしていると、豪がジャケットの袖を引っ張った。
「まぁ、いーや!部屋来いよ」
あまりに無邪気で素直なその言葉に、思わず うなずいてしまいそうになるが、
さすがにその申し出を受けるわけにはいかない。
ブレットは黙って首を振った。
豪はうーんと考え込むと、再び袖を引っ張った。
「じゃーさ・・・公園行こうぜ!」
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