「夜の公園って静かだなー、誰もいねーや!」
表情の冴えないブレットにお構いなく、豪は一人で はしゃいでいる。
こんな小さな子供を、こんな時間に外に連れ出していいものかと、
ブレットは罪悪感のようなものを感じていた。
豪とブレットは、実は年齢的には大差ない。
けれど、豪の容姿はあまりに幼く、中身はそれ以上に幼い。
ブレットはというと、わずかな幼さを残しながらも、その姿、顔立ちは少年とは呼びがたい。
そして、中身はそれ以上に大人びている。
でも、年齢だけで言えばブレットも豪も子供に違いはない。
ふと その事を思い出し、ブレットは苦笑した。
豪はブレットの周りでチョロチョロ、バタバタと せわしない。
落ち着きのない性格のせいもあるが、何より薄いパジャマ一枚で外に出たために、寒くて仕方なかったのだ。
けれどブレットに「寒い」とは言えなかった。
言ったらブレットは遠慮して帰ってしまうかもしれない。
ブレットと一緒にいたい。
冷たい風が首筋を吹き抜けて、豪は思わずブレットの足にしがみついた。
触れたジーンズは一瞬冷めたかったが、すぐにその内側からブレットの温もりが伝わってくる。
豪は離れることが出来なかった。
ブレットはふっと頬を緩めると、ジャケットを脱いで豪の肩にふわりと掛けた。
小さく華奢な体が暖かく包まれる。
それは まるでブレットに抱きしめられたような感じで、豪は赤面して うつむいてしまった。
豪がうつむいたままゴニョゴニョと何か呟いた。
全ては聞き取れなかったものの、礼を言っている事はわかった。
こんな時の豪は、普段に増して可愛らしく、いとおしく感じる。
ブレットは子猫を持ち上げるように、豪の襟首をつまみ上げた。
暴れる子猫をベンチに乗せると、自分も隣に腰を下ろした。
|
|