「真夜中のデート」 page 3

INDEX BACK NEXT
「夜の公園って静かだなー、誰もいねーや!」
表情の冴えないブレットにお構いなく、豪は一人で はしゃいでいる。

こんな小さな子供を、こんな時間に外に連れ出していいものかと、
ブレットは罪悪感のようなものを感じていた。

豪とブレットは、実は年齢的には大差ない。
けれど、豪の容姿はあまりに幼く、中身はそれ以上に幼い。
ブレットはというと、わずかな幼さを残しながらも、その姿、顔立ちは少年とは呼びがたい。
そして、中身はそれ以上に大人びている。

でも、年齢だけで言えばブレットも豪も子供に違いはない。
ふと その事を思い出し、ブレットは苦笑した。


豪はブレットの周りでチョロチョロ、バタバタと せわしない。
落ち着きのない性格のせいもあるが、何より薄いパジャマ一枚で外に出たために、寒くて仕方なかったのだ。

けれどブレットに「寒い」とは言えなかった。
言ったらブレットは遠慮して帰ってしまうかもしれない。

ブレットと一緒にいたい。

冷たい風が首筋を吹き抜けて、豪は思わずブレットの足にしがみついた。
触れたジーンズは一瞬冷めたかったが、すぐにその内側からブレットの温もりが伝わってくる。
豪は離れることが出来なかった。

ブレットはふっと頬を緩めると、ジャケットを脱いで豪の肩にふわりと掛けた。
小さく華奢な体が暖かく包まれる。
それは まるでブレットに抱きしめられたような感じで、豪は赤面して うつむいてしまった。

豪がうつむいたままゴニョゴニョと何か呟いた。
全ては聞き取れなかったものの、礼を言っている事はわかった。
こんな時の豪は、普段に増して可愛らしく、いとおしく感じる。

ブレットは子猫を持ち上げるように、豪の襟首をつまみ上げた。
暴れる子猫をベンチに乗せると、自分も隣に腰を下ろした。

INDEX BACK NEXT