「なーなー!アメリカでは今、何の訓練してんの?」
豪が足をパタパタさせて尋ねる。
カリキュラムの内容を話してやったところで、豪に理解できるはずも無い。
でも、ブレットは豪に話す。
「宇宙空間でロボットアームを操作して行う作業のシュミレートだ」
「ろぼっとあーむ??」
ちんぷんかんぷん といった表情の豪を見て、ブレットは少し寂しげに笑った。
「やっぱり分からないか・・・」
「でもさっ、宇宙飛行士に近づいてんのは、確かだよな!」
空のように、海のように、目指す遥かな宇宙のように、どこまでも澄んだ美しい瞳。
真っ直ぐ見つめられると、不思議なくらい、豪の言葉を揺るぎ無い物に感じることができる。
「まぁな・・・」
ブレットは嬉しそうに微笑んだ。
それは、普段の彼が決して見せることの無い、無邪気な少年の笑顔だった。
夜の寒さも手伝って無意識のうちに二人の距離が縮まる。
ブレットは黙って星空を見上げ、身を寄せる豪の小さな温もりを体の芯まで感じ取る。
こんなに安らかな気持ちになれるのは、きっとゴーといる時だけなのだろう。
飾ることも偽ることもなく、ありのままの心で、ブレットは そう思う。
「ヒコーキやってくれよ!」
不意に豪がベンチから飛び降りると、ブレットのシャツをグイグイと引っ張った。
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