腕の中で規則正しい寝息を立てる美しい人。
エーリッヒは宝物のように大切に抱え、やわらかな髪に口付ける。
シュミットが烈に対してだけ激しく反応する理由を、エーリッヒは何となく分かっていた。
きっと、自分がシュミットとブレットに対して抱く感情と同じなのだろう。
二人がどうにかなるなんて、本気で考えているわけではない。
けれど、どうしようもなく心がかき乱される。
理由は恐らく・・・自分の中でもブレットという人間を認めていて、そして、シュミットもブレットを認めていることを、知っているから。
シュミットとブレットが同じ種類の人間だと認識している分だけ、その思いは大きい。
「ん・・・」
無意識のうちに、シュミットを抱く手に力がこもっていた。
シュミットが少し苦しそうにしているのに気づいて、エーリッヒは慌てて力を緩めた。
恐る恐る様子をうかがう・・・幸い、シュミットは眠ったままだ。
シュミットを出来るだけ優しく抱きなおして、エーリッヒは瞳を閉じる。
静かな部屋の中、感じるのはシュミットの香り、温もり・・・それだけでいい。
シュミットが本当に望むなら、レツ・セイバを嫌いになってもいい。
けれど、そんな自分をシュミットは好きではいてくれないような気がする。
身勝手な感情。だからこそ、人をこんなに愛しく思えるのだろうか。
確かな事は、ひとつだけ。
「俺が好きなのはシュミット一人だけだ・・・今までも・・・これからも」
腕の中のシュミットが、僅かにうなずいたような気がした。
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Das Ende.
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