「バ、バカ!」
シュミットは耳まで真っ赤になっている自分に気づいて、慌てて布団をかぶった。
この男はいつもこうだ!
普段は のんきな顔をしているくせに、突然、聞いているこっちが恥ずかしくなるようなセリフを平気で言う。
私を・・・私の心をこんなにも・・・
背を向けるようにベッドに寝転がってしまったため、エーリッヒがどんな顔をしているか分からない。
静まり返った部屋の中で、自らの鼓動だけが、どんどん早く大きくなっていくようで、たまらなく苦しい。
ギシッ
不意にベッドが大きく きしんで、シュミットは小さく体を震わせた。
ベッドに腰を下ろしたエーリッヒ。その気配をすぐ傍に感じる。
振り向くことも、声を出すことさえも出来ない。
布団の端から僅かに出ていた頭に、ふわりと暖かいものが乗せられた。
張り詰めた緊張が、雪が溶けるように、砂が流れるように、和らいでいく。
それは、いつでもシュミットを優しく包み込んでくれるもの。
まるで魔法でもかかったような、エーリッヒの優しい手・・・。
「ごめん・・・」
布団の中から小さな声が聞こえた。
そっと顔を近づけてみると、慌てて布団をかぶりなおして丸くなってしまった。
『本当に・・・・可愛い人だな』
エーリッヒはにっこり微笑むと、布団ごとシュミットを抱き寄せた。
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