「熱病」 page 6

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「金鰲島の全乗組員に告ぐ!私は総司令官の聞仲だ・・・」


金鰲の各所に聞仲のアナウンスが響き渡る。
その声は、彼の揺るぎ無い決意に満ち満ちている。

その傍らで未だ全裸の王天君は、外れた指輪をはめ直すと、額にかかる髪をかきあげた。
視線の先にあるのは、世界中の深刻を刻み付けたような険しい横顔。


この戦いの結末は、誰にも知り得ることはできない。
幾通りものシュミレート。
どの結末を迎えたところで、この男が救われることは無いだろう。

けれど、どんなに最悪なビジョンを見せたとしても、この男の目から光を奪うことはできない。
誰かがこの男を殺さない限りは・・・。

聞仲は強い。
強すぎることが、この男の不幸な運命。



「ククク・・・」

ピアスをつけ直した唇から、牙を覗かせながら漏れた声。
その顔は ぞっとするほどに 美しく微笑んでいる。


まぁ聞仲には、血ヘドを吐くほど頑張ってもわらねぇとなぁ。
オモチャは壊れちまったら つまらねぇが、この男は、まだ遊びがいがある。

そう、せいぜい俺を楽しませてくれよ、聞仲・・・


するりとシャツを着こむと所定の位置につき、指を躍らせてパネルのスイッチを入れる。
そこに映った、巨大な岩の塊。
冷えきった表情で それを一瞥すると、後ろの総司令官に頭を返した。


「聞仲!もぉ崑崙を肉眼で確認出来るぜ」



The End
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