「Speicher」 page 3

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「君達、新入りだね」

振り向いた二人の目の前に立っていたのは、彼らよりも一周りも二周りも小柄な少年。
金色の髪をその指に絡ませながら、愛くるしい笑顔で微笑んでいる。
思わず目を奪われる美しく高貴な姿、柔らかな物腰と口調。
しかしエーリッヒとシュミットは、その背筋にピリピリとした緊張感を感じていた。

天才レーサー、ミハエル・・・彼が、目の前にいる。


ミハエルは興味深そうに、二人の顔を交互に見比べた。
顔を紅潮させながら自己紹介するエーリッヒとは対照的に、シュミットは押し黙ったまま、厳しい表情でミハエルを見つめている。

シュミットの突き刺すような視線にも、ミハエルは全く動じることはない。
二人を十分観察した後で、嬉しそうに言った。

「見込みあるよ、君達・・・楽しみだな」

シュミットは、キッ とミハエルを睨みつけた。
アイゼンヴォルフのナンバー1である天才レーサーに『見込みがある』と言われる・・・
2軍のメンバーにとって、これほど嬉しい事はないだろう。

しかし、プライドの高いシュミットにとっては、侮辱されたのと同じ事。
自分よりも年下の、この小さな少年に見下ろされている事が、我慢できなかった。


「走りも見ないで、どうして そんな事が分かるんだ!」
声を荒げるシュミットをエーリッヒが止める。
シュミットをなだめながら、しかし、エーリッヒも困惑していた。

ミハエルは自分達の事を知らない。
なのに、いくら天才だからといって、今の数分の間で、自分達の実力を見切ったとでも言うのだろうか?


シュミットに睨みつけられている少年は、不思議そうに首をかしげている。
自分としては彼らを賞賛したつもりなのだが、何故か彼らのうちの一人を怒らせてしまった。
怒っている理由は考えても分からなかったが、代わりに一つの面白い提案は思いついた。

「ぼくと、君達とでレースしようよ!」

ミハエルは、無邪気な笑顔で、二人に そう持ちかけた。



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「Speicher」・・・Memories(独)