アイツは突然 俺の目の前に現れた
一年位前、どこかのレース場の観客席
初めての出会いは、お互い観戦者同士としてだった
ミニ四駆の選手権大会をやっていたが、内容はもう忘れた
ただ・・・アイツだけが今も鮮明に、脳裏に焼き付いている
長い金色の髪
抜けるように白い肌
愛くるしい笑顔
まるで天使のようにキレイなアイツ
俺とは全く違う世界の住人だと、瞬間に悟った
アイツは俺の事を何にも知らないで
俺のことを誘って
無邪気に俺を振り回した
うんざりして見せたが
悪い気はしなかった
ただの気まぐれの関係で
きっとすぐに壊れてしまうから
この先、決して手に入れることは出来ないものを
一時だけでも傍においてみたいと思った
俺が決して手に入れることが出来ないもの
それは遠い昔になくしたものに似ていて
ずっと、ずっと捜し求めていたもの
「ぼく・・・・ミハエル」
俺がアイツの頭を軽く撫でたとき
アイツは小さな声で、自分の名前を言った
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