「神々の庭」 page 2

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閑静な住宅街の中で、ひときわ広い敷地を四方高い塀で囲まれたそれが、加賀の実家。
純和風の邸宅は、かなり年季が入っていて、もしかすると古い家柄なのかもしれない。
加賀の家に来たのは これが初めてではないが、何度来ても、少し緊張してしまう。

「遠慮すんなよ!だーれもいねーからさ」

加賀は靴を脱ぎ散らかして、スタスタと中に入っていった。
ヒカルはギクシャクしながら靴を脱いで揃えると、ひっくり返っている加賀の靴を揃えて隣に並べた。
そして玄関で加賀を待つ。

加賀の父親は、出張続きで、めったに家にはいない。
母親は・・・ずいぶん前に亡くなったらしい。
家に帰ると、加賀は真っ先に母親の仏壇に手を合わせるのだ。

しばらく待っていると、奥から加賀が出てきた。

「部屋行こうぜ」


庭に面した長い廊下をしばらく歩くと、おもむろに立ち止まり、障子を開ける。
よく手入れされた立派な松の木と、大きな池が見渡せるその一室に、加賀はヒカルを案内した。

「相変わらず何にもないね、加賀の部屋って」

ヒカルはリュックを肩から下ろして見回した。

8畳くらいの部屋の中にあるものと言えば、
小さな机と、その上に並べてある数冊の文庫本、そして灰皿。
テレビやゲーム機、ミニコンポに漫画本が並んでいるヒカルの部屋とは、だいぶ異なっている。

「オレは何にもないのが好きなんだよ・・・それより、やるんだろ?宿題」

加賀はタバコに火をつけると、庭を眺めているヒカルを促して机の前に座らせた。
自分も隣に座ると、ヒカルが取り出したプリントをパラパラとめくった。

「何だ、全然簡単じゃねーか!とりあえずやってみろ!で、わからないトコあったら聞けよ」

そう言うと、文庫本と灰皿を手にして、ヒカルの後ろでゴロリと寝転がった。


簡単だと言われて、ヒカルは少しホッとしてプリントを始めたのだが・・・

『ううう、ちっとも簡単じゃねぇ〜』

一枚目にして、ヒカルは頭を抱えてしまった。

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