「神々の庭」 page 5

INDEX BACK NEXT
「わぁ!お寿司だ!!」

テーブルの上に置いてある寿司を見て、ヒカルは目を輝かせた。
佐為も珍しげに覗きこんでいる。

『これオスシって言うんですか?ヒカルの家では出た事ないですね?』
『こんなゼータクな物、熱でも出さなきゃ取ってもらえないっつーの』


加賀は冷蔵庫から缶ビールを二つ取り出すと、一つをヒカルに投げた。
ヒカルは、とりあえず受け止めたが、『Beer』の文字を見て、仰天する。

「お、オレ、お酒なんて飲めないよ!」

ヒカルがそう言うのが分かっていて、あえてからかってみせるのだ。
確信犯の加賀は、突き返された缶ビールの代わりに烏龍茶の缶を渡して笑った。


からかわれると悔しいし、腹が立つ。
それなのに、まるで いたずらっ子のような、この笑顔を見ると、
ほっとしたような、嬉しいような気持ちになる。

それは、加賀にだけ・・・加賀の笑顔にだけ。
何故だろう?


ヒカルは、お返しに べーっと舌を出すと、一足先に席についた。
加賀も席について、二人で寿司を食べ始めたのだが・・・

「あっ!ねぇ加賀、オレさ、イクラ苦手なんだよ・・・トロと交換しよ、トロと!」
「あ?コラ、勝手に話進めてんじゃねぇ!イクラは好きだから貰ってやるけど、お前にはカッパ巻きで十分だ!」
「やだ!カッパ巻きなんていらな・・・ああーっ!イクラ勝手に取った!!」
「くれるっつったじゃねーか!」

食事の席でも、相変わらずの二人と、その二人の口にポンポン入っていく寿司を、
テーブルの端から ちょこんと顔を出して、佐為は羨ましそうに眺めていた。

『ああ、楽しそう・・・それに、オスシって、どんな味がするんでしょうねぇ?』

INDEX BACK NEXT