目頭が熱くなる。
長い間感じることのなかったその感覚に驚き、ブレットは思わずよろめいた。
遠心力のかかった体は立て直すことができず、豪をかばうように抱きしめたのが精一杯で、
ブレットは勢いのついたまま、芝生に体を打ちつけてしまった。
微かな草の匂いと、暖かくて柔らかい感触、
シャンプーとお菓子の匂い―――。
目を開けると、自分を不安げに見つめる大きな瞳があった。
その瞳は、ブレットが優しく微笑みかけると、明らかに安堵の色を浮かべた。
「墜落しちまったな」
ブレットの上に乗ったまま、豪がニカっと笑った。
「宇宙に墜落は無いぜ、ゴー」
ブレットの瞳が悪戯っぽく光ったが、豪はそれに気づかない。
あいまいな表情をしているブレットに無防備に顔を近づけ、
彼が予想している通りの質問を投げかける。
「墜落しなかったら、どうなるんだ?」
「・・・・こうなるんだよ・・・!」
意地悪なブレットは、そう言うと同時に豪を芝生に押し倒し、問答無用で唇を重ねた。
豪は何が起きたのか分からず、目を白黒させている。
「な、何だよソレっ!答えになってねーぞ!!」
ブレットが唇を離すと、ようやく体の自由を得た豪が、顔を真っ赤にしてブレットの胸をポカポカ叩いた。
「ホントの事さ・・・宇宙には空気がないから、窒息しちまうだろう?」
かなりいい加減な答えだが、豪は納得してしまったらしく、赤い顔のまま閉口してしまった。
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