「熱病」 page 4

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「・・・何を企んでいる?」

そんな質問に王天君が答えるわけはない。
聞仲自身、嫌と言うほど わかっていた事なのに、
口をついて出てしまったのは、彼の判断能力の低下を如実に表していた。
そして、それは王天君を一気に冷めさせた。

「・・・ダセッ 教えるわけネーだろ・・・」

王天君は口を尖らせると、立ち上がって聞仲を見下ろした。

「いたぶって遊んでやろうと思ったけど、つまんねーからヤメタ!」

そのまま聞仲に背を向けて立ち去ろうとした瞬間・・・


「?!」

突然、予期していなかった強い力で引き戻された。
更に強い力で両肩を掴まれ、王天君が僅かに顔を歪める。

聞仲は片方の手で王天君の顎を持ち上げた。
ひんやりとした感触・・・。
王天君の肌は見た目と同じ様に、触れても体温を感じられない。


「近くで見ると死人みたいだな・・・」

まるで抑揚のない言葉を発すると、聞仲は無造作に唇を重ねた。
王天君の瞳が大きく見開かれる。
驚き、怒り、悲しみ・・・どれとも とれるような表情。
聞仲は そんな王天君の表情を自らのうつろな瞳に映したまま、力を緩めずに その口内を蹂躙した。


「・・・輪が邪魔だ」

唇を離しながら、聞仲がポツリと呟いた。
王天君は口を拭おうともせずに、聞仲を睨みつけるように見つめている。

「逃げ出すなら、今のうちだぞ」

そう言いながらも、肩に置かれた手は一向に緩む気配がない。
むしろ、より一層 王天君の痩せた体に食いこんでくる。


逃がす気なんて、さらさらねークセに・・・ムカつくやろぉ・・・


外したピアスが床に落ちて、乾いた音を立てた。

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