ブレットは俺を抱いたまま話してくれた。
ブレットの かあちゃんが病気で入院したんだって。
『命に別状はないが手術するかもしれない』らしい。
心配だけど、でも、会いに行くことは出来ないって・・・ブレットは言った。
俺だったら、かあちゃんが入院したら絶対会いに行くから、だからブレットに
『なんで会いに行かないんだ？』って聞いてみたんだ。
「俺は必ずアストロノーツになる・・・そう言って家を出た」
「カリキュラムをすっぽかして会いに行っても、マムは喜びはしないだろう」
俺には、ブレットの言った事が よく わかんなかった。
でも、ブレットはブレットなりに、一生懸命考えて、それで決めたことなんだと思う。
それでも、やっぱり心配で、辛くて、悩んでるんだと思う。
「ごめんな・・・」
「どうしてお前があやまる？」
「もし烈兄貴だったらさ・・・きっと、お前の言ってる事だってちゃんと分かって、んで、お前を励ますようなこと言えると思うんだ」
「俺・・・何て言ったらいいかわかんないし・・・何も・・・できないから・・・」
「ゴー・・・お前はレツじゃないんだから、レツと同じ事をしなくてもいいんだ」
「ゴーにはゴーにしかできないことがある」
「俺にしかできないこと？」
「お前がそばにいるだけで俺の心は安らぐ・・・お前が笑ってるだけで、俺の心は癒されるんだ」
ブレット・・・やっと笑ってくれた。
胸の奥が、すごく、あったかくなる。
ブレットも俺の笑った顔見ると、こんなふうに心があったかくなるのかな・・・？
俺が笑えばブレットが元気になるなら、今日はいっぱい笑おう。
いつもの何倍も、うーんと。
「なぁブレット！お前の かあちゃんってどんな人？」
「ん？」
「俺の かあちゃんみたい？」
「そうだな・・・マムはとても気が強くて、そして奔放な人だ」
「ほんぽう？」
「ゴーには難しいか・・・奔放っていうのはな───」
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