「Dolci Giorni」 page 2

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「こんなところで会うとは、奇遇でげすなぁ!」

海外旅行は日常茶飯事だが、旅行先でWGPのライバルチームのメンバーに出会うという偶然は初めての事。
心配する彦佐をよそに、藤吉は無防備にルキノに歩み寄っていった。

ルキノは後ろの様子を少しうかがうと、突然、藤吉を抱きしめた。
「な、なななな何するんでげすかっ?!」

「っせーな・・・イタリアの挨拶だよ」
あたふたしている藤吉をポンと離すと、ルキノはそっぽを向いた。


「捕まえたぞ!このスリめ!!財布を帰しやがれっ」
突然、走ってきた男がルキノに飛びかかると、馬乗りになって殴りつけた。
ルキノは男を突き飛ばすと、血の混じった唾をはき捨てた。

「俺がスリだって?証拠でもあるのかよ?」
「財布を持ってるはずだ!」

男はあちこち探すが、一向に財布は見つからない。
焦る男を尻目に、ルキノは薄笑いを浮かべている。


二人のやり取りをぽかんと見ていた藤吉は、ふと胸のあたりに違和感を感じた。
懐に手を入れてみると、見なれない財布が入っている。
藤吉は、その財布を手に、いまだにルキノを調べている男に歩み寄った。
「あのー・・・捜してる財布って、これじゃないでげすか?」
「な、何やってんだバカ!」
ルキノが止めたが、すでに手遅れだった。

「そいつは俺の財布だ!それをどこで?」
「わての懐に入っていたでげす!不思議なこともあるもんでげす」

ルキノは頭を抱えた。
スリはもちろん彼。
逃げる途中で藤吉とぶつかるというハプニングはあったものの、それを逆手にとって、うまく財布を隠したつもりだった。
こいつが余計なことさえしなけりゃ、見つからなかったのに・・・!


「じゃあ、テメーが盗んだんじゃね―か!」
「ええーっ?!わ、わては知らないでげす!ひ、彦佐!何とか言うでげすっ」

藤吉は慌てて彦佐の後ろに逃げ込んだ。
藤吉を捕まえようとする男を、彦佐は必死で押し戻す。
「何かの間違いです!藤吉お坊ちゃまは、人様のものを盗んだりなどいたしません!!」

不意に、ルキノが藤吉の手を取って走り出した。

「こ、今度は何でげすかー?!」
「うっせー!逃げるんだよっっ!!」

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「Dolci Giorni」・・・Sweet Days(伊)