「空と憂鬱」 page 4

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「え?あ、な・・・何でもない!」

顔を真っ赤にして慌てて否定するその様子は、とても何でもないようには見えない。
リオンは心配して烈に再度問い掛けてみるが、烈は顔を赤くしてうつむくばかり。

「何か悩み事でもあるのか?困ってることでもあるのか?」
どうしていいかわからずに、目の前の柔らかな赤い髪を、そっと指で梳く。
烈は顔を上げてくれない。
困り果てたリオンは、烈と同じようにうなだれた。
「ごめん・・・俺のせい・・・か?」

「あっ!ち、違うよ、リオンが悪いんじゃないんだ」
烈はパッと顔を上げると、しょんぼりしているリオンに声をかけた。
「あの・・・・、あの・・・・ね・・・」


「キス・・・って、どう思う?」
何度も頭を整理し、言葉を選び、やっと一言だけ話した烈は、リオンが反応する前に慌てて否定した。
「あっ、いや・・・その・・・豪とブレット君がさ、いつも してるからその・・・」

弁解しながら、あまりの恥ずかしさに、顔から火が出そうになる。
心臓も、飛び出しそうなほど激しく動いている。
こんなに苦しくなるのが分かっていたのに、どうして聞いてしまったんだろう・・・

「豪とブレットがなぁ・・・・それって、口にか?」
リオンは、戸惑ってはいるものの、烈の話を茶化したりはしない。
烈も、リオンが真剣に話を聞いてくれるので、気持ちが少しは和らいだようだ。
ブレットが豪の頬にキスをするんだと、状況を説明する。

「日本ではあまり馴染みがないらしいけど・・・ブレットの国でも、俺の国でも、挨拶みたいなものだからなぁ」
しばらく考え込んでいたりオンは、静かな口調で、ゆっくり話す。
烈は うなずくものの、表情は冴えない。

「頬なら・・・まぁ、たいしたことはないと思うよ」
また、しばらく考えてから、烈を安心させようと付け加える。
烈は、それに答えるようにリオンに微笑みかけた。
そして、メンテナンスの続きをはじめる。

若干残る気恥ずかしさを忘れるように、リオンもメンテナンスの続きをはじめた。
やがて作業に集中したリオンとは逆に、烈は何も手につかない状態だった。

本当に聞きたい事を、まだ聞いていない
僕が本当にリオンに聞きたいことは・・・・

烈は意を決したように、手にしていたマシンを握り締めた。

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