「え?あ、な・・・何でもない!」 顔を真っ赤にして慌てて否定するその様子は、とても何でもないようには見えない。 リオンは心配して烈に再度問い掛けてみるが、烈は顔を赤くしてうつむくばかり。 「何か悩み事でもあるのか?困ってることでもあるのか?」 どうしていいかわからずに、目の前の柔らかな赤い髪を、そっと指で梳く。 烈は顔を上げてくれない。 困り果てたリオンは、烈と同じようにうなだれた。 「ごめん・・・俺のせい・・・か?」 「あっ!ち、違うよ、リオンが悪いんじゃないんだ」 烈はパッと顔を上げると、しょんぼりしているリオンに声をかけた。 「あの・・・・、あの・・・・ね・・・」 「キス・・・って、どう思う?」 何度も頭を整理し、言葉を選び、やっと一言だけ話した烈は、リオンが反応する前に慌てて否定した。 「あっ、いや・・・その・・・豪とブレット君がさ、いつも してるからその・・・」 弁解しながら、あまりの恥ずかしさに、顔から火が出そうになる。 心臓も、飛び出しそうなほど激しく動いている。 こんなに苦しくなるのが分かっていたのに、どうして聞いてしまったんだろう・・・ 「豪とブレットがなぁ・・・・それって、口にか?」 リオンは、戸惑ってはいるものの、烈の話を茶化したりはしない。 烈も、リオンが真剣に話を聞いてくれるので、気持ちが少しは和らいだようだ。 ブレットが豪の頬にキスをするんだと、状況を説明する。 「日本ではあまり馴染みがないらしいけど・・・ブレットの国でも、俺の国でも、挨拶みたいなものだからなぁ」 しばらく考え込んでいたりオンは、静かな口調で、ゆっくり話す。 烈は うなずくものの、表情は冴えない。 「頬なら・・・まぁ、たいしたことはないと思うよ」 また、しばらく考えてから、烈を安心させようと付け加える。 烈は、それに答えるようにリオンに微笑みかけた。 そして、メンテナンスの続きをはじめる。 若干残る気恥ずかしさを忘れるように、リオンもメンテナンスの続きをはじめた。 やがて作業に集中したリオンとは逆に、烈は何も手につかない状態だった。 本当に聞きたい事を、まだ聞いていない 僕が本当にリオンに聞きたいことは・・・・ 烈は意を決したように、手にしていたマシンを握り締めた。 |